結論から言うと、ナフサ不足が続いても、ゴミ袋が全国から完全になくなる可能性は低いです。
ただし、自治体指定ごみ袋や、45L・30Lなどのよく使うサイズは、地域によって品薄・入荷遅れ・一時的な売り切れが続く可能性があります。
実際に起きやすいのは、「ゴミ袋が消える」よりも、次のような変化です。
・店頭で一時的に買いにくくなる
・指定ごみ袋以外の透明・半透明袋も使える臨時措置が出る
・安い大容量品から売り切れる
・入荷数が限られる
・価格が上がる
・素材が変わる
・印刷や仕様が簡素化される
つまり、家庭で心配すべきなのは「明日からゴミ袋がまったく買えなくなること」ではなく、「いつも買っている袋が、いつもの店で買えない日が増えること」です。
なぜ「完全になくなる可能性は低い」と言えるのか
理由は、政府や業界側が、ナフサやポリエチレンの供給継続に向けた対策を取っているからです。
経済産業省は、原油や石油製品について、代替調達や備蓄石油の放出により「日本全体として必要な量」を確保できており、年を越えて石油の供給を確保する目途があるとしています。さらに、ナフサについても、備蓄原油を使った国内精製や中東以外からの輸入拡大により、ポリエチレンなどの中間段階の化学製品の在庫もあわせて「年を越えて継続」できる見込みだと説明しています。
経済産業省 : 中東対応を踏まえた石油由来の化学品・製品等の状況(4月30日時点)
石油化学工業協会も、2026年3月時点で、ナフサと川中製品の在庫をあわせて、少なくとも化学品全体の国内需要4か月分は確保されているとコメントしています。また、ポリエチレンやポリプロピレンなど主要石油化学製品については、国内需要の3か月以上の在庫水準を維持しており、直ちに供給困難となる状況ではないとの認識を示しています。
2026年3月の生産・出荷実績に関する石油化学工業協会コメント
この情報から見ると、「原料がゼロになって、ゴミ袋が全国的に作れなくなる」というより、供給は続くが、地域や流通の途中で詰まりが出る、という見方が現実的です。
ただし、店頭で品薄はすでに起きている
一方で、「完全になくならないから安心」とまでは言えません。
実際に、静岡県の三島市や函南町では、自治体指定のごみ袋が品薄になり、指定袋が手に入らない場合は、透明や半透明の中身が見える袋でも家庭ごみを出せる臨時措置が取られています。報道では、スーパーの店長が「頼んだ数は入ってこない」と話しており、入荷してもすぐ売り切れる状況が伝えられています。
愛知県名古屋市も、指定袋については複数の事業者により製造され、製造自体はできていると確認しています。その一方で、中東情勢の緊迫化による不安から需要が集中し、一部小売店で在庫不足など供給が不安定な状況があると説明しています。
ここが大事です。
品薄の原因は、原料不足だけではありません。
「ナフサ不足でゴミ袋がなくなるかもしれない」という不安が広がることで、いつもより多めに買う人が増えます。その結果、店頭在庫が先に消えます。
つまり、現時点では、
「製造できない」
よりも、
「不安による需要集中と流通の偏りで、店頭に並びにくい」
という面が強いです。
自治体指定ごみ袋ほど影響を受けやすい
普通の市販ゴミ袋なら、別メーカー、別サイズ、別素材の商品で代用しやすいです。
しかし、自治体指定ごみ袋は違います。
自治体指定袋は、色、印刷、サイズ、取扱店舗、納入業者などが決まっています。そのため、特定の袋に需要が集中すると、一般的な市販袋よりも品薄になりやすいです。
兵庫県の西宮市では、市指定ごみ袋の欠品に伴う臨時措置として、生活系もやすごみ用指定袋の代わりに、中身が見える透明または半透明の袋を使えるとしています。ただし、黒色の袋、濃い半透明の袋、紙袋、段ボール箱、他自治体の指定ごみ袋は使用できないとしています。
この動きを見ると、自治体側も「指定袋が一時的に買えない人が出る」ことを前提に動き始めています。
ナフサ不足が長引くと、素材変更が進みやすい
ナフサ不足が続いた場合、ゴミ袋は「作れないから終わり」ではなく、「素材を変えて供給を続ける」方向に進みやすいです。
愛知県大府市は、中東情勢の影響により、市指定ごみ袋の原料であるナフサ由来の高密度ポリエチレンの供給不足が懸念されているとして、指定ごみ袋の仕様を見直すと発表しました。従来は高密度ポリエチレン75%、バイオマスポリエチレン25%でしたが、新仕様ではストレッチフィルム再生材90%、バイオマスポリエチレン10%に変更しています。
これはかなり重要です。
自治体が見ているのは、「ごみ袋がなくなるかどうか」ではなく、「市民生活に必要なごみ袋をどう安定供給するか」です。
そのため、今後ナフサ不足が続くと、次のような対応が増える可能性があります。
・再生材を使う
・低密度ポリエチレンの比率を増やす
・袋の厚みや質感を変える
・印刷を減らす
・指定袋以外の透明・半透明袋を一時的に認める
・納入業者を増やす
・販売制限をかける
ゴミ袋が完全になくなるより、こうした「仕様変更」や「臨時ルール」で乗り切る可能性のほうが高いです。
実際はどうなりやすいのか
今後の見通しとしては、次のように考えるのが現実的です。
短期的には、品薄が続く地域が出ます。
特に、指定ごみ袋、45L、30L、可燃ごみ用、大容量パックは影響を受けやすいです。
中期的には、価格上昇や枚数減が起きやすいです。
原料調達コストが上がれば、メーカーや販売店がその分を価格に反映する可能性があります。見た目の価格を上げにくい場合は、1パックあたりの枚数が減る形も考えられます。
長期的には、再生材や代替素材への切り替えが進みやすいです。
大府市のように、ナフサ由来の高密度ポリエチレンだけに頼らない指定袋へ変える自治体が出てくる可能性があります。
一番あり得る流れは、これです。
ナフサ不足への不安が続く
↓
一部地域で指定ごみ袋が買いにくくなる
↓
自治体が透明・半透明袋での排出を一時的に認める
↓
メーカーや自治体が素材変更や供給先の見直しを進める
↓
価格や仕様が変わりながら供給は続く
「なくなる」よりも、「買いにくい・高くなる・素材が変わる」と考えたほうが実態に近いです。
家庭ではどう備えるべきか
家庭では、1〜2か月分くらいを目安に持っておけば十分です。
半年分、1年分の買いだめはおすすめしません。
買いだめする人が増えると、それを見た人も不安になり、さらに買いだめが広がりやすくなります。結果として店頭在庫が減り、本当に必要な人が買えなくなるおそれがあります。
とはいえ、不安を感じて早めに多めに買う人が一定数出てくるのも現実です。だからこそ、必要以上にあおる情報をそのまま受け取らず、自治体の発表や店頭の状況を確認しながら、1〜2か月分を目安に落ち着いて備えることが大切です。
自治体によっては、指定ごみ袋が買えない場合に透明・半透明袋を認める臨時措置を出しています。ただし、使える袋の条件は自治体ごとに違います。
特に確認したいのは、次の3つです。
・指定袋以外でも出せるか
・透明、半透明なら何リットルまで使えるか
・黒い袋、他自治体の指定袋、紙袋、段ボール箱が禁止されていないか
不安な場合は、住んでいる自治体の公式サイトで「指定ごみ袋 臨時措置」「ごみ袋 品薄」などを確認したほうが確実です。
まとめ
ゴミ袋が全国から完全になくなる可能性は低いです。
政府は、原油・石油製品について代替調達や備蓄放出で必要量を確保する方針を示しており、ナフサやポリエチレンなどの供給についても、年を越えて継続できる見込みとしています。石油化学工業協会も、ポリエチレンなど主要製品について直ちに供給困難となる状況ではないとの認識を示しています。
ただし、店頭ではすでに品薄が起きています。
とくに自治体指定ごみ袋は、普通の市販ゴミ袋より代替しにくいため、地域によっては買いにくい状態が続く可能性があります。
今後起きやすいのは、「ゴミ袋が消える」ことではありません。
起きやすいのは、
・一時的な品薄
・入荷遅れ
・価格上昇
・販売制限
・指定袋以外を認める臨時措置
・再生材などへの素材変更
です。
必要以上に買い占めるより、普段より少し多めに備え、指定袋が買えない場合は自治体の臨時措置を確認する。これが、今の状況では一番現実的な対応です。
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